子供がインフルエンザにかかると、親としてはとにかく重症化しないことを祈るでしょう。
重症化とは、例えばインフルエンザ脳症であったり、肺炎などの合併症であったり、最悪の場合、心筋炎などの命の危険などが考えられる症状です。
子供が小さければ小さいほど重症化の危険がありますから、インフルエンザ治療薬であるタミフル、リレンザ吸入薬、イナビル吸入薬などを使うのがいいのか、悩むことになります。
なぜ、悩むかというと、インフルエンザの薬には副作用として子供が飛び降りたりする症状があると考えられているからです。
しかし、実際のところ、薬とは関係なく、インフルエンザにかかると、薬を飲まなくても飛び降りたりするような異常行動をとる子供が一定数でます。
つまり、飲んでも飲まなくても、インフルエンザの症状に、そのような副作用と考えられている行動を起こすことが分かっています。
無責任なマスコミの宣伝で、多くの親が間違った情報を鵜呑みにしています。この記事では、インフルエンザの薬についての正しい知識についてまとめてあります。
この記事を最後まで読むことで、インフルエンザの薬とはどういったもので、どういったときに子供に飲ませるべきかが分かるようになります。
目次
子供のインフルエンザの症状はどのように起こり、治療薬はどのような効果があるかを知っておくと、親としてどう判断したらいいかが分かる
インフルエンザとはウイルスが原因で発症します。多くの人はそれくらい知っていると思っているでしょうが、実は誤解している人も多くいます。
まず、ウイルスと細菌の違いを知っている人はどれくらいいるでしょうか?おそらくほとんどいないと思います。その理由を説明しましょう。
細菌は殺すことができます。普通の虫や魚、あるいは人間と同じです。しかし、ウイルスは生物ではありません。
生物の細胞に感染することで、その感染した細胞が細菌のような悪さをします。 いってみれば、ウイルスはゾンビのようなものです。
普通の人間が、ウイルスによってゾンビになってほかの人を攻撃するのです。
ゾンビを殺すと、とりついた人間も死んでしまうように、ウイルスを殺すには、自分の細胞まで殺してしまうことになります。
では、ウイルスを退治するにはどうすればいいのでしょうか?
それには、まず、ウイルスがゾンビを作るのを止める必要があります。 ゾンビに感染すると、ウイルスが細胞に入り込み、次々と増殖していきます。
しかし、増殖を抑えることができれば、そのゾンビだけが死んでさえしまえば、そこで症状が終わります。
このウイルスの増殖を防ぐというのがインフルエンザの薬の役割です。
その為、ウイルスの増殖が最大限になる前に、増殖を抑えることができます。
インフルエンザの症状は一週間くらい続きますが、日にちにすると2日くらい症状の期間が短くなります。
しかし、体の中のゾンビが少なくて済むわけですから、その分症状が軽く済みます。
インフルエンザに発症すると、全身に痛みなどの症状が現れます。ウイルスが全身の細胞に入り込み、悪さをする為です。
その為、体のあちこちでウイルスと戦う為に体が熱を持ちます。高熱になるのは、症状が全身に及ぶ為です。
インフルエンザは高熱が数日続きますが、インフルエンザ治療薬を飲むと、ウイルスが全身に増殖する前、熱がピークになる前に、体の免疫力がウイルスの増殖に勝ります。そうして、症状が和らいできます。
たった2日程度、治りが早くなるだけのことですが、症状がピークにならないというのはとても重要なことです。
何故なら、高熱が続くと脳症の危険が高まることが分かってきたからです。その高熱が2日も短縮できると、そういった重症化の危険が少なくなるということです。
インフルエンザから肺炎になる場合でも、増殖したウイルスが肺や気管支などに移動することが原因です。
その為、ウイルスが細胞間に増殖することが抑えられれば、肺や気管支に移動するリスクも少なくなります。
また、戦うウイルスの数が少ないと、それだけ免疫力を温存できます。ウイルスが肺や心筋に移動する前に、免疫力で進行を防ぐだけの体力が残っていると言う事が重要なのです。
注意すべきなのは、インフルエンザウイルスの増殖前に治療薬を服用する事が必要と言う事です。その為、インフルエンザ発症後、48時間以内に服用と言う事が必要になってきます。
子供が小さい場合は、インフルエンザに感染したと思ったら早めに医師を受診する事が必要です。インフルエンザの治療薬を使いたくても手遅れになる可能性もあるからです。
子供のインフルエンザは薬なくても治るので、副作用が心配なら飲ませなくてもいいが、陰謀論に惑わされない知識も知っておく事が必要
もし、子供がインフルエンザにかかったら、薬を飲ませるべきかどうかは、先ほど説明したことを十分に吟味して決めてください。
インフルエンザを治すのは、子供の免疫力です。例え、薬を飲んでもそれは変わりません。ただ、インフルエンザ治療薬を飲むと、ウイルスの増殖を抑えることができるので、子供の免疫力が勝つまでの期間が短くなります。
インフルエンザの薬を飲ませたくないのであれば、子供の免疫力を最大限にする手助けをしてやることです。
インフルエンザの薬は、インフルエンザを治す薬ではありません。ウイルスの増殖を抑え、重症化を防ぐ為の物です。
従って、症状が重くなければ薬は必要ありません。
しかし、子供に喘息などの持病がある場合は、もとから免疫力が弱いので、ウイルスを体の外に出すまでの時間がかかり、重症化に繋がる場合もあります。
その他、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、脳性麻痺や、出産時に未熟児であったりすると、重症化のリスクが高いといわれています。
この重症化のリスクはRSウイルスと同様です。どんな場合でも、持病があれば免疫力が弱くなり、重症化しやすくなるというのが分かっています。
参考記事 RSウイルス感染症、我が子の命を守る為に知っておくべき事
親として副作用の心配もわかりますが、そもそも子供が重症化してしまえば、副作用どころの話しではありません。
インフルエンザの治療薬の副作用は、因果関係がはっきりしていません。これを陰謀論と考える人たちも多くいます。
しかし、インフルエンザにかかるだけで、そのような副作用といわれている異常行動が出る事は事実です。
厚生労働省の調査によれば、2015年から2016年まで間で、タミフルを服用して重度の異常行動を起こした数は6件に対し、服用しなかった場合は29件です。
また、リレンザに関しても同様に、服用した人が異常行動を起こした数が3件、服用なしの場合で32件です。
インフルエンザ薬を服用しない方が、異常行動を起こすリスクが高いと結論づけています。統計的な数字もない感情的な新聞記事に騙されないようにしましょう。
参考 インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究 – 厚生労働省(PDF)
子供のインフルエンザの薬の種類、イナビルとリレンザの吸引薬について知っておくと親として安心できる
インフルエンザの薬は内服液と、吸引薬、そして点滴の薬があります。インフルエンザA型、インフルエンザB型に効果があります。
内服液はタミフルといい、小さい子供から大人まで広く服用することができます。
一方、吸引薬は、きちんと吸引できる年齢でないと服用は難しいものがあります。年齢的には5歳くらいから処方されます。吸引薬にはイナビルとリレンザがあります。
リレンザは1日2回の吸引を5日間続けます。一方リレンザは、1回の吸引で済みます。
そして、いったん重症化してしまった時、入院時に使われる薬がラピアクタという点滴薬です。こちらも1回の点滴で済みます。
インフルエンザのようなウイルスが原因の病気は、原則として対処療法といって、熱を下げる、咳を沈める、痛みを和らげるといった、症状をできるだけ和らげるという薬が基本です。
インフルエンザの場合、処方される薬は熱や痛みを和らげる鎮痛解熱剤が基本です。
症状を和らげる間、子供自身の免疫力で、ウイルスを退治してくださいというのが一般的な治療方針です。
そして、ウイルスを退治するのは子供自身の免疫力ですが、ウイルスの増殖を抑える役割を果たし、子供の免疫力をサポートするのがインフルエンザ治療薬です。
ですから、インフルエンザにかかった子供が全員、インフルエンザ治療薬を必要とするわけではありません。
また、タミフルという薬を飲んで、子供がマンションから飛び降りたという事故がありましたので、それがあたかも副作用かのような報道がなされています。
その為、異常行動を単独でとることができる年齢である10歳代はタミフルの使用は原則禁止されています。
しかし、事実は、インフルエンザにかかると薬を飲まなくてもそのような症状があることが分かっています。
つまり、インフルエンザにかかったら、子供を一人にしないで鍵などをかけて様子を見るというのが、親としての正しい行動です。
我が家でも次男が幼稚園の年少の時に高熱を出し「お化けが見える」と言った事がありました。もちろん、タミフルなどの薬は飲んでいませんでした。
我が家のママがこのことを友達のお母さんに話したら、「実はうちの子もお化けを見たらしい」というようなことを話していたと言っていました。そのお母さんも、インフルエンザの治療薬は飲ませていないと言っていたということです。
つまり、聞かなければわざわざ話さないようなことで、インフルエンザで子供が異常行動のようなことを起こす事は、普通に身近にある話なのかもしれません。
お化けが本当に怖いと思ったら、次男は家を飛び出しても逃げようとしたかもしれません。我が家は街中に住んでいるので、普段からドアと窓に鍵をかけていたので助かっていたのかも知れません。
もし、次男が自分で鍵を開けられる年齢であったら、あるいは悲劇が起っていたかもしれません。
インフルエンザで高熱を出すと、本当にそのような幻覚のようなものを見るのだと実感したものです。医師から、インフルエンザは薬を飲まなくてもそう言う事は起ります、といわれて納得してタミフルを処方してもらいました。
タミフルには、そのような報道を受けて、医師は「異常行動の恐れがあることを家族に説明すること」が義務付けられています。
しかし、インフルエンザにはもともと脳症の危険があり、異常行動を起こす可能性があります。薬を飲まなければ、異常行動が起きないと思ってしまう報道はまったく無責任ともいえます。
むしろ、最近の統計では、薬を服用しない場合の方が、異常行動を起こす確率が高いと言う事が分かっています。
参考 インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究 – 厚生労働省(PDF)
子供がインフルエンザの薬を飲まない、飲んでも吐く場合は、水分補給と高熱にならないように親が監視することで脳症などの重症化を防ぐことができる
子供のインフルエンザで怖いのは、脳症と呼ばれる脳の異常、そして肺炎や心筋炎などの合併症です。
そのような重症化を防ぐ為に、親としてインフルエンザの薬を子供に飲ませる事にしたとします。しかし、子供が薬を飲もうとしなかったり、飲んでも吐く、あるいは吸引薬を上手く吸引できないといった時はどうしたらいいのでしょう。
その場合は、できるだけ重症化を防ぐ為の方法がありますので、それを実行しましょう。
インフルエンザ脳症と呼ばれる脳炎は、最近の研究で、特定の鎮痛剤が原因の一つであることが分かっています。
参考 子どもの発熱と解熱剤について|【かわぐちこどもクリニック】
そして、もう一つ、高熱が続くと脳炎の可能性が高くなることもわかってきました。
参考 40度以上の高熱持続が脳症発症の引き金に 日経メディカル
したがって、子供がインフルエンザで熱が出た場合、熱が39度を超えた段階で、脳症の危険がない鎮痛剤を使って、熱を下げてやることが必要です。
インフルエンザで使える解熱鎮痛剤はアセトアミノフェンが成分の薬を選びます。内服薬なら「小児用バファリン」、座薬なら「こどもパブロン坐薬」なら大丈夫です。
もう一つ、熱が出ると子供は脱水症状になりやすいので、必ずまめに水分補給としてミネラル水を与えることです。
ミネラルは汗とおしっこで簡単に子供の体からなくなります。単なる水分不足として甘く見てはいけません。ミネラルが不足すると、水分が体に行き渡りません。
水分が体に行き渡らないと、汗が出なくなり、体温調整ができなくなって体に熱がこもることになります。
熱が出たら、まずは経口補水液などのミネラル水を与えてみてください。多くはこれで熱が幾分か下がります。こもっていた熱が、再び汗とともに放出され、体温が正常にコントロールされます。
経口補水液は自宅にある材料でも簡単にできます。作り方を覚えておくと、いざと言う時に役に立ちます。
ただし、全てのミネラルが補充できる訳ではありませんので、応急処置的に考えて、後からでもカリウムなどのミネラルをできるだけ補給しましょう。
脱水症状が進行しているかは、子供が汗をかいているかでも判断がつきます。汗を大量にかいているのは正常です。
熱が出れば出るほど、体温調整で汗をたくさんかきます。ウイルスと戦うためにたくさんの熱がでます。それを体が自らクールダウンするために汗をかきます。
高熱を避ければ、脳症のリスクは少なくなりますし、鎮痛剤もアセトアミノフェンが成分の物を使えば安全です。
インフルエンザの薬を飲んでも脳症のリスクは一定以上はあります。どちらにしてもできるだけ子供の免疫力を最大限に発揮できる環境を作ってやる事が大事です。
可愛い我が子の為に、親がすべきことをひとつひとつ丁寧に実行して行きましょう。
子供の年齢がある程度高い場合は、部屋に鍵をかける、家に鍵をかける、ベランダなどにでないような工夫は必ず行ないます。
インフルエンザにかかると、インフルエンザ治療薬を飲まなくても、それだけで異常行動を起こす危険がある事を忘れないようにしましょう。
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コメント
はじめまして!
ごんたママです。
インフルエンザ、季節になってきましたね。
子供の高熱は本当に心配です。
正しい知識を持って、親として落ち着いて行動することが大切ですね。
情報ありがとうございます。
ごんたママさん、コメントありがとうございます。
子供が病気になると、今まで知らなかった事が
色々と分かる事が多いですね。
お互い親として、子供の為に何ができるか
正しい知識をもって判断できるといいですね。