RSウイルス感染症、我が子の命を守る為に知っておくべき事

RSウイルス感染症とは、何百種類もある風邪のウイルスの一つです。原因ウイルスは、エンテロウイルスです。

つまり、RSウイルスとは、風邪の一種に過ぎません。

しかし、RSウイルスが脅威に感じられるのは、生後24か月以下の赤ちゃん、免疫力の弱い子供には、悪化して重症化しやすいという特徴があるからです。

大人や2歳以上の健康な子供のRSウイルスの感染期間は3日から8日といわれています。

しかし、2歳以下の新生児や乳児のように体の免疫力が弱いと、ウイルスの感染期間はいつまでかというと、3〜4週間と長くなります。

すると、RSウイルスが細気管支などに移動して細気管支炎を発症したり、肺に移動して肺炎などを発症します。そうなると、気管支喘息のような症状がでます。

それが原因で、呼吸困難、呼吸停止などによる突然死が起ることがあるのです。

参考 RSウイルス感染症|愛知県衛生研究所

参考 RSウイルス感染症とは 国立感染症研究所

参考 RSウイルス感染症Q&A 厚生労働省

ということは、RSウイルスに感染しても、ウイルスが気管支や肺に移動しないように注意すれば重症化しないということです。

仮に細気管支炎や肺炎になっても、赤ちゃんの呼吸が止まらないように注意深く対応さえしていれば、かわいい我が子の命を守る事が出来ます。

この記事は、そんなRSウイルスについての正しい知識を持ってもらう為にまとめてあります。

そして最後まで読む事で、2歳以下の新生児や乳児、免疫力の弱い子供が重症化しない為には何をしたらいいのかということが分かるようになります。

RSウイルスにはどのように感染するかを知り、予防法を知っておく事で我が子の命の危険から守る

RSウイルスは風邪の一種です。

普通の風邪と同じように、一生のうちに何度も繰り返し感染し、再感染、再発を繰り返す事は普通です。生涯にわたって十分な免疫ができることはありません。

RSウイルスに一度かかると二回目からの症状は軽くなりますが、初回の感染は悪化しやすく注意が必要です。

お母さんにも十分な免疫ができないため、その赤ちゃんにも免疫は引き継がれません。六ヶ月未満の乳児は、お母さんの免疫を引き継いでいるので殆ど病気になりませんが、RSウイルスは例外です。

RSウイルスは感染力がとても強く、2歳になるまでに、ほぼ全ての赤ちゃんがこのウイルスに感染するといわれています。しかし、その2歳になるまでが、RSウイルスの感染によって重症化するといわれています。

最悪は死亡というケースに至ったり、脳症などの後遺症を残すと言われるのは、2歳以下の新生児や乳児などの赤ちゃん、もしくは喘息持ちや心臓に生まれながらに疾患のある人です。

参考 RSウイルス感染症|和歌山市感染症情報センター

ですから、お母さんは、自分の子供が2歳になるまでは、このウイルスに感染しないように十分に注意する必要があります。

そして、仮に感染してしまっても、重症化しないように十分に注意してやる事が大事です。

2歳までにほぼ全ての赤ちゃんが感染すると言っても、まずは、できるだけ感染しないように注意する事です。

仮に感染しても、体の中に入り込むウイルスの数が少なければ、重症化のリスクを少なく出来ます。

その為に、どのように予防したらよいか、正しい知識を持つ事が大事です。

RSウイルスはエンベロープといわれるものを持つウイルスで、このエンベロープをもつウイルスは消毒効果が高いと言われています。

参考 Y’s Square:病院感染、院内感染対策学術情報 | 2)その他のウイルス

消毒とは、例えばエタノール(76.9~81.4vol%消毒用エタノール)や次亜塩素酸水で殺菌や除菌が可能です。エタノールも次亜塩素酸水も市販品があります。手ピカジェルには消毒用エタノールが含まれています。

エタノールはアルコールの一種で、アルコール消毒もRSウイルスに対して同様の効果が見込めます。


消毒用エタノール

次亜塩素酸水

手ピカジェル

子供が小さいうちは、こういったエタノールでおもちゃ、ドアのノブや壁、床などを消毒しましょう。RSウイルスを殺菌できます。

外から帰った後は、手を洗い、エタノールを含んだ手ピカジェルなどで消毒することで手についたRSウイルスを殺菌します。

RSウイルスの感染経路は、唾などの飛沫感染と、その唾などがおもちゃやドアノブ、手すりやイスなどについて、それを触ったり、触った手をなめたり、鼻を触ったりする時にウイルスに感染します。

ですから、おもちゃなどの消毒、手洗いはとても有効です。

また、私たちの体は、鼻から呼吸することで、鼻の粘膜がウィルスの侵入を阻止してくれています。ウイルスの感染経路は鼻が最も多いのです。

この鼻の粘膜は線毛(せんもう)と呼ばれるものでできていて、水分が多く、温度が高い環境で活発に活動します。

つまり、部屋の湿度を高く保ち、マメに水で喉を潤し、寒くならないように温かくして過ごすということがRSウイルスなどが体に侵入しない為には有効です。

風邪をひくときは、朝方の寒い時間帯にウイルスが入り込みます。朝起きると喉が痛いという経験は誰もが持つものだと思いますが、温度が関係しているのです。

また、鼻や喉の粘膜の線毛(せんもう)はメントールでも活発に活動することがわかっています。赤ちゃんの足の裏にヴィックスヴェポラップを塗ってやることで、線毛の活動を活発になり、ウイルスの侵入を未然に防ぎます。

参考 カゼ・インフルに:水分補給でウイルス排出

水分をまめに与えて、部屋の湿度を上げ、エアコンなどで寒すぎない温度に保つことで赤ちゃんの自己免疫能力は高まります。

また、現在自分が住んでいる地域のRSウイルスの感染状況を知る事も備えになります。

アッヴィという会社が主催する専用サイトでは、札幌など北海道、福島県、埼玉県、愛媛県、熊本県や福岡県をはじめ全国のRSウイルスの流行状況を発信しています。

参考 RSウイルスの都道府県別の流行状況 RSウイルスinfo.net

RSウイルスに大人が感染しても鼻風邪程度で、殆ど感染に気がつかない、それが原因で我が子に感染させてしまう

大人はマスクをすることも有効です。最近では、ウイルスは微小なため、マスクを通過してしまうので意味がないといった論調も多いですが、こういった情報は偏っていますので注意が必要です。

マスクをすることで、口と鼻が一定の湿度と温度を保ちますので、鼻と喉の粘膜が活発化し、ウイルス侵入を防ぐ為に間違いなく有効に働きます。

マスクはウイルスを遮断できないかもしれませんが、マスクの助けによって、体の粘膜が活性化してウイルスの侵入を防ぐのです。

RSウイルスは何故、これだけ騒がれ、危険なウイルスのように思われているかというと、2歳以下の新生児、乳児に限っては、重症化するケースが多いからです。

正確には、2歳以下の乳児、もしくは喘息や心臓病などの先天的な持病がある人が重症化しやすいのですが、何といっても、幼い子供の命を奪ってしまう可能性があるということが注目されるからです。

しかし、健康な2歳以上の子供、もしくは、喘息も心臓病の持病もない人にとっては、普通の風邪と変わりません。

大人にしてみれば、単なる鼻かぜ程度のものです。しかし、それだけ誰もが感染しやすく、感染したことさえも気が付かない人が多いことが問題でもあります。

というのは、大人は単なる鼻かぜ程度であれば普通に生活しますので、仮にお母さんがRSウイルスに感染しても気が付かないわけです。

母子感染や、母乳から感染するわけではありませんが、会話しているだけでも空気中にウイルスの飛沫が飛び散りますので、空気感染する可能性もあります。

母乳の免疫や、お母さんから受け継いだ免疫も関係ありません。何故なら、お母さんも感染してしまうウイルスなので、お母さんも十分な免疫を持っていないからです。

お母さんは自分の赤ちゃんや子供にRSウイルスが感染したというと、とても慌てる人が多いのですが、実は、自分が感染源である可能性も大いにあるのです。

幼稚園に行って感染したら、自分の子供が、他の子供からRSウイルスを移されたと考えがちですが、迎えに来た親からかもしれません。道を歩いている他人から移されることもあります。

新生児がいる病院などの院内でも、鼻風邪程度の人なら普通に歩いていることも不思議ではないでしょう。

お見舞いや、赤ちゃんを見に来た親戚知人などがちょっとした鼻風邪を発症しているかもしれません。それがRSウイルスである可能性はとても高いのです。

だから、病院で入院中の新生児とお母さんも簡単に感染する恐れがあります。

しかし、RSウイルスに感染しただけではいかに乳児が小さかろうと死にはしません。RSウイルスによる重症化は、ウイルスが鼻や喉から別の場所に移ることで起ります。

RSウイルスはどのような症状が出るのかを知り、どうして重症化するのを知れば、我が子の命の危険から守る事が出来る

RSウイルスは、通常の大人、2歳以上の健康な子供であれば通常は3日から8日程度で体の外に排出されます。ウイルス排出期間は普通の風邪と同じ程度です。

症状はくしゃみ、鼻水、喉の痛み、咳、熱などです。つまり、普通の風邪の症状です。発熱期間もせいぜい3日程度でしょう。

風邪の治療の基本は薬ではありません。ウイルスには抗生物質も効きませんので、風邪には対処療法と言って、症状を和らげる薬しかありません。

例えば、咳を鎮めたり、発熱を抑えたり、痛みを和らげたりといった具合です。

そして風邪が完治するのは、薬の効果ではなく、体の中にウイルスの抗体ができることによってです。これはインフルエンザも例外ではありません。

しかし、2歳以下の新生児や乳児、あるいは、喘息や心臓病などの持病がある人は、免疫力が弱く、3週間から4週間近く、体の中にRSウイルスが滞在します。

RSウイルスが体の中に侵入しても、喉より上で止まっていれば、それは風邪(感冒)となります。声が出る部分まで移動すると、今度はクループ症候群と診断されます。

そして、ここまではRSウイルスだけでなく200種類以上ある風邪のウイルスと同じです。その為に、症候群と呼ばれます。しかし、ここからがRSウイルスは他のウイルスと違ってきます。

RSウイルスは、細気管支という、喉より下の肺に近い部分の息の通り道、その中でもとりわけ細い気管に感染して、細気管支炎になったり、肺にウイルスが感染して肺炎になってしまうことがあります。

そうなると、ゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴(ぜんめい)という喘息のような症状がでます。これは、息をする通り道が狭くなってしまうことで出てくる音ですが、要するに呼吸が困難になるということです。

参考 RSウイルス感染症について 白クマ先生の子ども診療所|日本医師会

喘息の持病があれば、喘息の症状はよりひどくなります。心臓病の人は、心臓が送り出す酸素が、心臓が弱いためにもともと少なくなりがちなのですが、呼吸が困難になると、より一層、血液の酸素濃度が少なくなる可能性がでてきます。

もともと赤ちゃんは、風邪をひいただけで喘鳴(ぜんめい)の症状がでることが多いと言われています。その為、2歳未満の乳児の喘息は「乳児喘息」として区別されます。

赤ちゃんにとって、喘息のような症状は、時に命を落とすような症状を引き起こすことがあります。

命にかかわる症状とは、無呼吸発作のような呼吸停止の症状です。

脳症や脳炎といった障害が起こることもあります。それは、呼吸が困難になってくると、酸素が十分に体の中に運ばれません。その時に、脳への酸素が不足することで起ります。

その兆候として、チアノーゼといった、指の先や唇などが紫色になる症状が出たりします。

ですから、喘鳴(ぜんめい)の症状が出たら一にも二にも呼吸が停止しないように見守ることが重要です。

幼い子供の命を奪うのは、この呼吸が止まってしまう事、あるいは窒息なのです。

だからRSウイルスに感染して、もしも重症化してしまったら、心配するのは熱や咳よりも、呼吸が止まらないようにしっかり観察して、対応する事なのです。

しかし、まずはそうならないなために、2歳以下のお子さんがいるお母さんは、風邪のような症状がでたら、重症化しないような努力が必要です。

RSウイルスに特効薬はないが、赤ちゃんの体に抗体ができる手助けをする事で、重症化を予防する事が出来る

2歳以下の新生児や乳児がRSウイルスに感染したら、できるだけ風邪の症状だけで終わるのが理想です。

ウイルスには基本的に特効薬はありません。RSウイルスも例外ではありません。そのため治療は、対処療法になります。

下痢を和らげるには整腸剤、熱が高ければ解熱剤、咳には痰を出しやすくする薬、細気管支炎には、気管支を広げる効果のある薬が使われます。

どれもウイルスに効果がある薬ではなく、ウイルスの感染によって出る症状を和らげる為の薬になります。

例えば、ムコダインという薬は、痰や鼻水を出しやすくする薬です。結果的に咳を沈める効果も期待できます。

デカドロンは喉などの炎症を抑えるステロイドで、鼻や喉の腫れを抑える効果があります。

リンデロン シロップ、パルミコート、オノン(プランルカスト)、プレドニン、ベネトリンやメプチンという薬は、RSウイルスの薬と勘違いされる方もいますが、これは、喘息のような症状に使われる薬です。

気管支などの炎症を抑え、空気の通り道を広げる事で喘息の症状を緩和します。プレドニンという薬などは強力ですが、副作用の恐れもあるので頓服で使用されたりします。

エピネフリンやデキサメタゾンも喘息の薬です。この薬の組み合わせは、小児の喘息の症状に効果的という報告もあり、幼児の入院が減ったと言う報告もあります。

それぞれ、状況に応じて医師から処方されます。

メイアクトという薬は抗生物質なので、ウイルス性の感染症には全く効果はありません。

抗生物質がウイルスに効果があると勘違いする人もいますが、ウイルスの感染に抗生剤を使うのには理由があります。

私たちの体の中には、普段から常在菌(じょうざいきん)と呼ばれる細菌が住んでいます。体が元気であれば、そのような細菌は体に悪影響を与えません。

しかし、体の免疫機能が落ちたときには、その常在菌が悪さをする場合もあるので、医師によってはそのような抗生剤を処方する場合もあるのです。

2歳までにほぼ100%の子供がこのRSウイルスに感染しますが、風邪の症状で終わってしまう子供が殆どです。

それは、RSウイルスが細気管支や肺に移動する前に、赤ちゃん自身の体の中に抗体が出来てウイルスが体の外に出す事ができたからです。

ですから、対処療法で薬を使うにしても、赤ちゃん自身の免疫力を最大限に出してやる手助けをしてやる事です。

その為に重要な事は、4つあります。

一つ目は、ある程度の熱はウイルスと戦って抗体を作る行程なので、38度の熱を超えなければ、解熱剤などは使わないことです。

二つ目は、脱水症状を起こさないようにマメに水分をとらせる事です。脱水症状を起こすと体からミネラル分が失われ、体に熱がこもります。

体全体に熱がこもると体力を消耗しますので、ウイルスに対する抗体を作る体力が不足してしまいます。そうならない為に、経口補水液などのミネラル分を含んだ水分を補給してやります。

三つ目は、これ以上のウイルスを侵入させないように、または、ウイルスを排出する為に喉や鼻の粘膜の線毛(せんもう)という組織を活発にさせることです。

喉や粘膜にある線毛は、水分とある程度の高い温度で活発になります。また、メントールがよい事も分かっています。

マメに水を飲ませ、体を温かくして、ヴィックスヴェポラップなどのメントールを足などに塗ってやりましょう。鼻づまりなどにも効果があります。

四つ目は、鼻水をきちんととってやる事です。鼻水は、ウイルスなどの病原菌を含んでいる事が多いですが、赤ちゃんは自分で体の外に出す事ができません。

そして、鼻から出てくる鼻水は、実はそれ程問題ではなく、鼻の奥の副鼻腔というところに溜まっている鼻水を出してやる事が重要です。

この副鼻腔に鼻水が溜まると、赤ちゃんが寝る時に顔を上に向けた時に喉に下りてきます。喉に下りてくると、今度は喉にウイルスが移動します。

ウイルスで喉が炎症反応を起こすと、それが痰になります。赤ちゃんは痰も自分で出す事が出来ないので、ウイルスが喉に留まり、喉から細気管支、肺へと移動して細気管支炎や肺炎を引き起こすのです。

参考記事 赤ちゃんの鼻水は吸引を正しくすれば止まり、咳や病気の予防になる

細気管支炎や肺炎になって、ただでさえ空気の通り道が細くなっているところに、痰などの分泌物が溜まると無気肺といった、肺に空気が入らないといった症状になることもあります。

そうならないためにも、鼻水の吸引はとても大事なのです。

RSウイルスに感染しても、軽度の咳程度で、喘息の症状がなければ保育園の通園も可能

RSウイルスは新聞でも危険なウイルスとして報道されたりしますが、実態としては、風邪と同様に普通に蔓延するウイルスに過ぎません。

2歳以上の健康な子供には風邪程度なので、幼稚園のように3歳以上の子供しか集まらない所は、あまりRSウイルスに神経質にはならないでしょう。

しかし、保育園は0歳から預かる所もありますので、RSウイルスにはある程度、神経質になります。

しかし、見た目は風邪と見分けもつきませんし、RSウイルスの検査も積極的にしなければRSウイルスに感染した事も気がつかないケースも多いでしょう。

では、RSウイルスに感染した場合、いつから登園が可能になるのでしょうか。

実は、そう言った判断は、幼稚園や保育園が独自に行なっている訳ではありません。学校保健安全法という法律に則って判断しています。

では、RSウイルスについては、どのような判断になっているかというと「軽度の咳だけで、ひどいゼーゼーや呼吸困難がなければ登園が可能です」という判断になっています。

兄弟がいて、一方だけが喘息のような症状でも、一方が元気であれば、元気な方の子供の保育園登園はもちろん可能です。

参考 学校、幼稚園、保育園における感染症 | 調布市医師会

参考 保育園及び幼稚園における感染症の出席停止期間の基準一覧 | 愛知県医師会(PDF)

ですから、重症化しなければ登園は可能と覚えておけばいいでしょう。特にRSウイルスの治癒証明というものも必要がありません。

RSウイルスで40度を超える高熱が出たり、喘息の症状以外が見られるときは、他のウイルスの感染の可能性も考えて対応する

RSウイルスは、2歳以下の子供は重症化しやすいと言っても、最初は軽い風邪程度に過ぎません。多くは、感染した事も気がつかないくらいの症状です。

ですから、発熱してもそれほど高熱になる訳ではなく、それが続くと言う事もありません。

もし、熱が40度を超えたり、それが続くような事があれば、RSウイルスだけではなく、インフルエンザなどのウイルスに同時に感染した可能性もあります。

例えば、アデノウイルスは高熱が続いたり、目の充血で、目が痛いといったり、目やにがでたりとった結膜炎のような症状がでます。プール熱とも呼ばれます。喉の扁桃が赤くはれて膿がつく扁桃炎というのは代表的な症状です。

胃腸までウイルスが感染すると下痢などの症状がみられます。

ロタウイルスという感染症も、生後2カ月までに一度は感染すると言われています。ウイルスは非常に感染力が強く、胃腸に感染し、嘔吐や下痢を伴います。

ライノウイルスという風邪のウイルスもあります。

あまりRSウイルスということにこだわりすぎず、自分の子供の症状をよく観察する事が大事です。

症状が苦しそうであれば、それをできるだけ緩和しながら、赤ちゃん自身の中で抗体を作ってウイルスを排出する手助けをしたやると言うのが基本的な治療法です。

RSウイルスの検査で陽性反応がでても、治療は風邪と同じだということを知っておくと、検査してもらえない不安もなくなる

もし、2歳以下の新生児や乳児が風邪などの症状がでたら、早めに医師にかかることです。

RSウイルスの検査方法は、鼻水による迅速検査キットと血液検査があります。しかし、RSウイルスに感染したからといって、特別な治療が待っている訳ではありません。

鼻水による迅速検査は、一歳未満の乳児は保険適応されますので、医師も積極的に検査に応じるでしょう。

しかし、保険適用されない年齢では、病院が自腹を切らなければなりませんので、医師は検査を嫌がる場合もありますし、はっきりと検査を断る医師もいるようです。

しかし、先程説明したように、検査はそれほど重要ではありません。重症化するリスクがあることを知りたいと言う事は分かりますが、無理して検査する程の事でもありません。

二歳以上の健康な子供、大人については、重症化のリスクがありませんので、検査はほとんど意味がありません。

風邪のシーズンでは、同じようなウイルスを持った子供が小児科を訪れます。検査したときは陰性でも、帰る時に他の子からウイルスをもらって陽性になることもあり得ます。

ですから、検査を受けて陰性という結果が出ても安心してはいけません。陰性から陽性に簡単に変わる事もあるのです。

検査よりも重要な事は、出来るだけ早く、赤ちゃん自身の体の中にウイルスの抗体を作ってもらう事です。これは、先程、説明した通りです。

もう一つ重要な事は、赤ちゃんが重症化するサインを見逃さないようにすると言う事です。

RSウイルスにかぎらず、2次感染などで重症化する症状が出るときには、その兆候である一定のサインが出ます。それを見逃さなければ、重症化したとしても早めに対処する事が出来ます。

RSウイルスが重症化するサインを知って、それを見逃さなければ、我が子の命の危険から守る事が出来ます

人間は通常、ウイルスに感染すると熱を出します。そして、多くは1週間もすると体の中に抗体が出来て、ウイルスが体の外に出ます。こうして熱が下がる訳です。

しかし、ウイルスが完全に外に出る前に、その中の別のウイルスが気管支や肺に移動すると、そこで再びウイルスに感染する訳ですから、再び熱を出します。風邪がぶり返したような症状がでるのです。

このような経緯で重症化しますので、2歳以下の子供、特に6ヶ月未満の乳児が風邪の症状が出た場合、体温や症状、母乳やミルクの回数などを記録する事です。

特に体温の推移は、先程の説明した通り、2次感染などの兆候を早めに察知できます。医師の診察を受ける際にも、とても参考になる情報です。

熱の他にも重要なサインがあります。RSウイルスが重症化しないための観察項目がいくつかあります。

例えば、気管支にウイルスが感染したとして、気管支が炎症を起こし、空気の通り道が狭くなるのですが、いきなり狭くなる訳ではありません。

気管支の炎症が徐々にひどくなって、だんだんと空気の通り道が狭まっていきます。そして、最終的には、すきま風のようにヒューヒューという喘鳴を発する事になります。

しかし、喘鳴(ぜんめい)が起らなくても、赤ちゃんは呼吸が困難になっていることを直に感じている訳です。赤ちゃんは、呼吸がしづらくなると似たような行動をとります。

それは、試しに鼻をつまんでストローを口でくわえて、水を吸ってみるとわかります。鼻が詰まると吸うという行為がとても困難になります。

これと同じ状況が赤ちゃんにも起きるのです。

呼吸が困難になると鼻での呼吸も困難になります。赤ちゃんは基本的に口呼吸が苦手で鼻呼吸が基本ですから、鼻を大きく広げて呼吸しようとします。これを鼻翼呼吸と呼びます。鼻がピクピクと動くのが特徴です。

大きく息を吸わなければ苦しいので、ミルクや母乳などを飲んでいる時に息をしなければならなくなります。

せっかく吸った母乳やミルクも、大きく息を吸う時に嘔吐したりしてしまう事もあります。

そのうち、ミルクや母乳を吸うのが苦しいので飲むのを止めてしまいます。

ですから、赤ちゃんの鼻がピクピクと動いたり、ミルクや母乳をあまり飲まなくなったり、飲んでいる途中で吐くというときは、すでに呼吸が困難になりかかっている事が十分に疑われます。

ミルクが上手く飲めないと赤ちゃんの機嫌が悪くなります。夜も眠れない事が多くなり、泣き叫ぶようになります。寝ているときより起きている方が呼吸が楽なので、縦にだっこをしてやると少し機嫌が良くなります。

そんな症状が起きていないでしょうか?それは重症化のサインかもしれません。

次に現れるのが呼吸の回数が増える事です。呼吸が困難になると、体に入ってくる酸素が少なくなり、すぐに不足してしまうので、呼吸が早くなります。

吸っても吸っても足りないので、呼吸の数が増えてくるのです。

呼吸回数が新生児では1分間に60回以上であれば多呼吸と判断されます。乳児では40回以上で、そう診断されます。

そこまでいかなくても、呼吸が早くなっているなと感じたら早めに病院を受診しましょう。

呼吸が上手く出来ないと、息が荒いという状態になったり、体全体で呼吸をしようとしますので肩で息をしたり、喉の辺りが大きくくぼんできます。みぞおちの辺りも大きくくぼんできます。

喘息症状の強さによって胸の動き、胸の音が変わってきます。

以下の動画が参考になります。赤ちゃんは苦しいと言う事が自分で表現できません。お母さんやお父さんが気づいてあげる事が大事です。

体に酸素が足りなくなってくると顔は血色を失い、青白くなってきます。指の先や唇も紫色になるチアノーゼという症状も出てきます。

痰などの分泌物などが原因で、肺に空気が入らなくなる無気肺とい症状にも注意が必要です。

水分がとれず、栄養も取れないので、寝てばかりでぐったりしてきます。こういった症状は、重症化のサインです。

もし、こう言った症状があればすぐに医師を受診しましょう。必要であれば救急車を呼びます。できるだけ、早めに色々なサインを読み取る事が大事です。早ければ早い程、重症化に対する措置を講じる事ができます。

参考記事 赤ちゃんの咳が夜中に止まらない時、原因に応じた対処法を知れば安心

RSウイルスの重症化は2歳以下の子供には深刻ですが、早産児、心臓に疾患のある子供、免疫不全の子供、あるいはダウン症などの染色体異常のある子供には、重症化を防ぐ薬がない訳ではありません。

それは、モノクローナル抗体、パリビズマブ(シナジス)と呼ばれる注射薬です。誤解をする人が多いですが、RSウイルスの感染を防ぐ予防接種のようなワクチンではありません。

この注射の効果は1ヶ月なので、RSウイルスが流行する9月から翌年3月まで、毎月投与する事になります。

インフルエンザと同じような重症化を防ぐ目的の注射になりますが、心疾患などをもつ子供の重症化が大幅に減ったという報告があります。

問題点は費用が非常に高価である事です。金額は、注射の回数にもよりますので80,000円~320,000円という幅があります。

しかも保険適用されるのには条件があります。保険が適用されれば、2割もしくは3割負担で16,000円から96,000円くらいの負担になります。

その条件とは、24ヵ月齢以下の子供で、早産児、心臓に疾患のある子供、免疫不全の子供、あるいはダウン症などの染色体異常のある子供ということです。

早産児や心臓に病気のあるお子さんをお持ちのお母さんは、そう言った選択肢もある事は知っておいてもいいでしょう。

参考 心疾患児のRSウイルス感染症とその対策

RSウイルスで喘息症状がでたら、真っ先に入院を考える方が、我が子の命の為になる

赤ちゃんがミルクや母乳が飲めなくなると、別の形で栄養を与える必要がでてきます。それが点滴などによる対応となります。

ミルクを飲まなくなると不安になるでしょうが、正確には、呼吸が苦しくてミルクや母乳が上手く飲めなくなるということです。飲みたくても飲めないと言うのが正解です。

ですから、点滴で栄養をもらえば心配はないわけです。必要以上に心配すべきではないでしょう。

また、呼吸が困難と判断されれば、人工呼吸器を使う必要がでてくることもあります。

赤ちゃんに酸素が足りているか、サチュレーションと呼ばれる酸素飽和度を計ったりして安全を確保したりします。

酸素が足りているか、赤ちゃんの呼吸だけでは分からないこともありますので安心できます。

そのため、新生児や乳児が細気管支炎や肺炎などになると看護が必要と判断されて入院ということになる場合があります。

入院したから危険だと判断するのではなく、より安全な対応を考えて入院という措置が取られたと考えるべきでしょう。

少なくとも窒息や呼吸停止のリスクは格段に下がりますので、入院したからといって、必要以上に慌てることはありません。

むしろ家にいるより、入院したほうが安心と考えるべきでしょう。

入院しないという選択が出来る場合もありますが、早めに対処すれば対処する程、赤ちゃんの命の危険は軽減されます。

入院費用は、病院によりますが、差額ベッド代が一日5000円程度はかかると思った方がいいでしょう。

ただし、自分で差額ベッドを希望しなければ請求されません。また、治療の必要上、隔離が必要という理由などでも請求はされません。

高額医療申請をすれば8万円以上はかかりませんが、差額ベッド代は対象になりません。

そうならない為にも、出産とほぼ同時に赤ちゃんの医療保険に入っておく事をお薦めします。

RSウイルスについて、我が子の命を守る為のまとめ

  • RSウイルスは、2歳以下の新生児や乳児は重症化するリスクはあるが、2歳以上の健康な子供はほとんど心配要らない。
  • RSウイルスは、2歳以上の子供でも喘息、心臓病などの疾患があれば重症化する可能性があるので十分に注意する。
  • RSウイルスは殺菌が可能なので、赤ちゃんがよく触るおもちゃや机、イスなどは消毒用エタノールなどで消毒して、感染を予防する。
  • RSウイルスに感染したら、風邪で終わらせる為にすべきことをする。部屋の湿度を保ち、温かくして、マメに水分を与え、マメに鼻水を吸ってやる事。
  • RSウイルスに感染したら、重症化のサインを見逃さないようにしっかりと観察をする。ミルクや母乳を飲まなくなる、呼吸が速くなる、機嫌が悪くなる、などの症状がでたらすぐに病院へ。
  • RSウイルスで重症化して危険なのは、呼吸停止。呼吸が止まらないよう、窒息しないよう十分に注意し、必要があれば入院をためらわない。

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