赤ちゃんの咳が夜中に止まらない時、原因に応じた対処法を知れば安心

赤ちゃんの咳は、不思議と夜中に起こり、なかなか治まらない。そんな経験をするお母さんは多いのではないでしょうか?

しかし、赤ちゃんの咳が夜中に起るのにはきちんとした理由があります。慌てて夜中に病院を尋ねても、たいした薬も処方されない事もあります。

心配になって夜間病院に電話しても、ただの咳や鼻水では、どれだけ苦しそうにしても、水を与えて休ませてくださいと言われる事も多いのです。

とはいえ、緊急の状態を見逃してもいけませんし、どのような基準で病院を受診すべきなのかよくわからないと言う事もあると思います。

この記事は、そんなお母さんの為に、赤ちゃんが夜中に咳がでる原因について、いくつか医学的な根拠のある話を元にまとめてあります。

この記事を読む事で、それらの原因に応じた適切な対処をどうすればいいかを理解する事が出来きるようになります。

赤ちゃんの咳が夜中でも病院を受診したほうがいい場合の見分け方

赤ちゃんの咳が酷く、救急車などで、すぐに病院を受診しなければいけないケースは、赤ちゃんの呼吸がすでに止まっている、呼吸困難に陥っているようなときです。

呼吸が止まっていたり、赤ちゃんに酸素が足りていない状況では、顔面や唇の色が青いチアノーゼと呼ばれる症状がでます

意識がなく、自分で動けない場合もその可能性があります。

逆に慌てては行けないケースは、息が止まるが、すぐに呼吸を再開するという場合です。このような呼吸は、周期性呼吸と呼ばれるもので、赤ちゃんにはよくあります。赤ちゃんが苦しそうにしていなければ心配はいりません。

このように赤ちゃんの咳が心配な時は、顔や唇の色、意識があるかないか、というところをよく観察します。

呼吸が困難な場合は、胸の動きと喉の陥没を見るとわかります。喉が陥没する呼吸を、陥没呼吸といいます。

これは、赤ちゃんの呼吸がどれだけ深刻かを判断する基準がよくわかる動画です。これを参考にして、緊急と判断したら、すぐに救急車を呼びましょう。

赤ちゃんの咳が風邪でもないのに夜中だけ起きる原因は、温度の変化などで喉の粘膜の働きが鈍くなるから

赤ちゃんの咳が風邪でもないのに夜中だけ起きると言う事はよくあります。また、風邪を引いて咳が出る場合でも、夜中になると激しくなるということもよく起ります。

それは何故でしょうか?

咳がでるのは、外部からのウィルスやカビや花粉などのアレルギー物質などが喉に付着したときに、それを体に出そうとする反射的な動きです。

その為、寝る時に横になると、布団などから埃やダニを吸ってしまうのが原因といわれています。

しかし、毎日、同じ布団で寝て咳が出なかったのに、いつの日からか夜中にだけ咳が出るようになったとすれば、それ以外の原因も考えられます。

それは、喉や鼻の粘膜の働きが、乾燥と温度の影響で鈍くなることが影響しているのです。

喉や粘膜にある線毛(せんもう)という組織は、ウィルスなどの侵入を防ぐ役割を果たしています。それが、温度が低くなったり、湿度が低くなって乾燥してくると、その線毛の働きがにぶくなるのです。

その為、咳が出たら水を飲ませるのがいいと言うのは理にかなっている事なのです。喉の粘膜の線毛に水分を与える事で、その働きを活発にさせる効果があるのです。

参考 日経ウーマン カゼ・インフルに:水分補給でウイルス排出

また、乾燥した部屋は、ハウスダストが舞いやすくもなります。適度な湿度では、ハウスダストや埃も舞いにくくなります。空気清浄機でも、加湿機能がついたものの方が効果が高い事がよく知られています。

赤ちゃんの咳が夜中だけ起きると言うのは、夜中に温度も湿度も低くなる環境だからです。

夜中、特に明け方は一日の中で一番気温が低いときです。夏は、エアコンを付けていると時間帯によっては寒くなりすぎる時もあります。冬はそれに乾燥が伴います。

赤ちゃんの咳が夜中だけ起ると言う場合、部屋の湿度をあげ、水を与え、寒くなりすぎないようにエアコンの温度を調整しましょう。

赤ちゃんの咳が夜中に喘息のように出たときは、RSウィルスや百日咳が原因でないか疑ってみる

赤ちゃんがゼーゼー、ヒューヒューと喉を鳴らす事を喘鳴(ぜんめい)といいます。

ゼーゼー、ヒューヒューという音がすると、赤ちゃんが喘息でないかと疑うお母さんも多いかと思います。

しかし、この喘鳴(ぜんめい)は、赤ちゃんが息をする途中のどこかが狭くなっていると出る音で、必ずしも喘息ではありません。

赤ちゃんや子供の喘鳴(ぜんめい)は、喘息のように見えても、実は違うと言う事が多いのです。

喘息の診断は、何らかの検査ですぐに分かるものではありません。症状と経過をみて喘息かどうかを診断します。

参考 上原こどもクリニック|喘息(ぜんそく)

むしろ、簡単に喘息と疑ってしまう方が危険な場合があります。急性肺炎が原因なのに、喘息と決めつけたための治療を始めて、肺炎の症状が進行してしまうようなことも起ります。

喘息は、検査ですぐに分かるものではありませんが、百日咳やRSウィルスなどは検査ですぐに分かります。むしろ、そういった病気を見逃さないようにする方が大事です。

特にRSウィルスは赤ちゃんや子供が何度も感染する事がありますし、百日咳は赤ちゃんの命に関わる事も少なくありません。

RSウィルスは、喉の当たりに感染すると風邪のような症状になり、気管支に感染すると気管支炎や喘息のような症状になり、肺に感染すると肺炎になります。

参考 白クマ先生の子ども診療所|日本医師会 RSウイルス感染症について

気管支喘息のような症状を出すものに以下のものがあります。どれも小さい赤ちゃんには重症化する危険があります。

  • RSウィルス
  • マイコプラズマ感染症
  • ヒトメタニューモウイルス感染症
  • 百日咳

このような病気は、喘息に似た症状や、コンコンというような乾いた咳が出る場合があります。

参考 はしもと小児科 咳疾患多発中

潜伏期間があったり、発症までに数日かかるものもありますが、夜中の温度変化、湿度の変化で喘息のような発作を起こす事もあります。

病院の受診は翌日でもいいですが、そのような病気の可能性も頭の中に入れて、医師にその可能性を尋ねてみる事もよいかと思います。

医師も判断を誤る事がない訳ではありません。心配な場合は、セカンドオピニオンで、他の小児科を受診してもよいと思います。

赤ちゃんが夜中で咳をして嘔吐したら、脱水症状を起こさないように必ず水分を与える

赤ちゃんは咳をするとお腹に力が入りますので、胃が押されて吐く赤ちゃんは多いです。その為、咳で嘔吐すること自体は問題がありません。

問題なのは、吐く事によって体の水分が減ってしまう事です。赤ちゃんは体が小さいので、少しの水分不足も脱水症状となる危険があります。

その為、嘔吐した場合は、それが再び口の中に戻らないように拭き取ってやり、水はマメに与えるようにします。

赤ちゃんが咳で嘔吐したときの水の与え方は、以下のページが詳しいです。参考にしましょう。どのような間隔で、どれくらいの量をどのように与えたらよいか詳しく解説しています。

参考 山口小児クリニック:吐いたら

赤ちゃんが夜中に咳をして熱がある場合は、脱水症状を疑って必ず水分を与える

赤ちゃんは咳をすると嘔吐しやすく、体が小さいので脱水症状に陥りやすいです。では、脱水症状は何かと言うと、水分とミネラル(ナトリウムなどの塩分)が体から抜けてしまう事です。

水分だけでなく、ミネラル(電解質)も奪われるので単なる水不足とは違います。ですから、ミネラルの含まれた水を与えることで解消します。

血液中にはミネラルがバランスよく流れていますが、その配分が崩れると血流が悪くなります。内臓への血液の巡りがわるくなると食欲不振を起こします。脳への血流不足で意識がもうろうとします。

また、神経伝達物質はミネラルに依存しますので、足がつったり、しびれや脱力が起ります。

脱水症状と熱は一見関係ないように思われますが、体の水分が失われているため、熱を下げる為の汗がでないので、体に熱がこもるのです。

従って、脱水症状は熱中症と深い関係があります。赤ちゃんも水分が不足する事で、汗がでなくなり、体の温度調整が出来ずに熱が出ている可能性があります

そんな時に、ミネラル水を与える事で、体に水分とミネラルが行き渡り、血の巡りが回復します。正常に汗が出せるようになると、体にこもった赤ちゃんの熱も下がって、楽にさせることができるのです。

参考 「かくれ脱水」委員会 子どもが脱水症になりやすい5つの理由

参考 「かくれ脱水」委員会 脱水症予防が熱中症予防につながる

ミネラルが含まれた水は、ポカリスエットなどでもよいですが、ミネラルは思ったより少なく、糖分も多いので、経口補水液が適しています。

OS1やアクアサポートなどが市販されています。OS1はおいしくないですが、消費者庁の認可があります。アクアサポートは赤ちゃんでも飲みやすい味です。赤ちゃん用のイオン飲料も市販されています。


赤ちゃん用のイオン飲料(3ヶ月くらいから可)


ボトルタイプ


粉末タイプ


ゼリータイプ

赤ちゃんは塩分を取りすぎると、体に悪影響がありますので、ポカリスエットや経口補水液を飲ませるときは、分量に注意してください。

OS1のような経口補水液には、幼児:300~600ml/日、乳児:体重1kgあたり30~50ml/日のように記載があります。とり過ぎには注意しましょう。

赤ちゃんが夜中に咳と痰がでるのは、横になる事で鼻水が喉まで下りてくるから

夜中や朝方は、室内の温度と湿度が下がります。そうすると喉の粘膜の線毛の働きが悪くなってウィルスを防ぎきれなくなり、いつまでも防御しようと咳を繰り返します。

これが、赤ちゃんが夜中に咳をする原因です。

しかし、普通であれば赤ちゃんは鼻で呼吸しますから、ウィルスなどの侵入は鼻からになります。つまり、咳の始まりは鼻水なのです。

鼻に刺激があると、赤ちゃんはくしゃみをします。くしゃみをしたら何らかのウィルスの侵入があると疑ってもよいかもしれません。

赤ちゃんは痰を自分で出す事が苦手ですが、鼻水はもっと苦手です。何しろ、鼻を自分でかむ事が出来ませんから。

起きている時には鼻水に含まれたウィルスやアレルギー物質が、鼻の奥でとどまっていますが、仰向けに寝ることで下に落ちてきます。それが喉を刺激して咳を起こします。

こうして、赤ちゃんの咳が夜中に起る事になるのです。

では、普段から赤ちゃんの鼻水が溜まらないように気をつけていたらどうなるでしょう。鼻水が喉に下りてこなければ、口から喉にウィルスなどが侵入する確率はかなり低くなると思います。

参考 あおきこどもクリニック 鼻水を制する者は咳をも制す

実際、赤ちゃんの鼻の奥に、鼻水がとどまっている事が問題なのです。これが、大人のように鼻をかむ事ができれば、ウィルスなどは簡単に体内に入ってきません。

赤ちゃんは抵抗力も弱いですが、せっかく防御機能である鼻水が機能しても、それを体の外に出せない事で、必要もない病気になったり、咳をするはめになります。

赤ちゃんが夜中に咳で泣く、起きる、寝れないときには上半身を起こして寝かせる

赤ちゃんが夜中に咳で泣きじゃくったりして眠れないとき、よく観察してみると乾いた咳でなければ、多くは鼻水や痰がからんで苦しそうにしているのが分かります。

寝たままだと、鼻水が喉まで下りてきますので、鼻水に含まれたウィルスやアレルギー物質などが咳を誘発します。

ですから、上半身を起き上がらせると、鼻から喉に下りている鼻水が、鼻にとどまりますので、喉の刺激がなくなり、咳が収まる事が多いです。

上半身を起こした状態だと、鼻も通りやすくなるので、鼻の呼吸もできるようになれば落ち着いてきます。お母さんが座って、上半身を起こした状態で寝かせてやると、上手くいけば寝ついてくれます。

赤ちゃんの夜中の咳は、鼻づまりが解消すると落ち着く場合が多い

上半身を起こした状態で、鼻水を吸引してやれば、赤ちゃんはさらに楽になるはずです。その場合、鼻をつまんで出てくるだけの鼻水だけではダメで、キチンと鼻の奥にある鼻水を吸引してやることが必要です。

それができれば、寝る時に横になっても鼻水が喉に下りてくる事はありません。そんなときの為に、市販の鼻水の吸引器を準備しておきましょう。

鼻の吸引方法のコツは、こちらのサイトで図解入りで詳しく説明されています。鼻の奥にある鼻水をとることは、中耳炎をはじめ、長引く咳やウィルス性の病気の予防になります

参考 かめやまクリニック 子供さんの鼻をうまく吸う方法

ウィルスは、細菌と違って抗生物質が効きません。ウィルスを退治する為には、自らの免疫力で自然にからだの外に出す必要があります。その手助けをするのが、鼻の吸引です。

それでも赤ちゃんが夜中に咳で苦しそうな時は、#8000小児救急電話相談に電話してみましょう

赤ちゃんが夜中に苦しそうにしていると、親としては何とかしたいと考えるものです。どうしたらよいか分からないときは、携帯電話もしくは固定電話から#8000をプッシュして、小児救急電話相談に電話しましょう。

どういった基準で病院に行くべきか判断すべきかは、以下のページが参考になります。小児救急電話相談#8000の相談員さんのお話ですので、かなり実用的な判断基準が分かります。

参考 公益社団法人 埼玉県看護協会 子どもの病気とその対応

記事を最後までお読みいただきありがとうございます。ランキングに参加しています。下のバナーをクリックしていただくと、ランキングの順位が上がり、励みになります。
ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村


人気ブログランキング

この記事はあなたのお役に立ちましたでしょうか?もし少しでもお役に立てれたのなら、他の方にも下のボタンから共有をお願いします。また、ご意見やご感想などありましたらお気軽にコメントをお願いします。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする