エアコンの水漏れを自力で直す -10年保証の保証会社は倒産

突然、我が家の居間に、聞いた事の無い音が響き渡った。何かをたたく音。機械音にも聞こえた。

てっきり三男が何か家電にいたずらでもしたのかと思ったが、三男はすやすやと眠っていたのでいたずらのしようがない。音源を探って行くと、一瞬、雨漏りと勘違いした。すごい勢いで水滴が落ちてくるのである。しかし、雨は降っていない。エアコンから水が漏れているのだ。

床はすぐに水浸しになり、壁にも水滴が飛び散っていた。

事の次第を理解すると、私は台所にタオルをとりにいった。タオルを置くと音は止まり、見る見るうちにタオルの色が変わっていく。水を大量に吸い込んでいる。これでは間に合わないと、昔ながらの方法で、茶碗に漏水を貯めようとしたが茶碗が汚れるので止めた。適当な器を探してきて、漏水受けにした。

一気に憂鬱な気分になった。エアコンの故障=余計な出費という方程式が頭をよぎったからだ。しかも、修理の手配の手間やなんやら考えると面倒臭いの一言では済まないくらい、面倒くさい。

しかし、我が家は冷蔵庫、エアコン、洗濯機については必ず延長保証を付ける事にしている。だから余計な出費はかからないと安心してもいいのだが、修理内容によっては料金がかかる場合も多い。例えば消耗品の類いだ。しかしエアコンは購入してから2年程度しか経過していないので消耗品ということは無いと思う。だが、気持ち的には、修理が完了するまでは不安なものだ。

そのエアコンを購入した時、同じような夏にさしかかろうとするときであったが冷蔵庫の製氷機能が壊れたときがあった。このときも憂鬱になった事を覚えている。これについては、またの機会に詳細をお伝えしようと思う。

このエアコンは我が家の居間に置いてかなり重要な役割を担っている。居間には2台のエアコンがあるが、こちらのエアコンは11~17畳用のもので、このエアコンが稼働しないと居間の半分が暑い。しかも、今日は真夏日を迎えるくらい暑い。33度まであがるというので、エアコンもそろそろフル稼働を始めようかなと思った矢先に違いない。

実は、このエアコンを付けたときにも同じように水が漏ってきた。付けた翌日に、再度業者に着てもらった記憶がある。全体を分解して、結局原因が分からなかったが、どうも水漏れは止まったようだ、というようなちょっとモヤモヤした結果であった。しかし、それ以降、少なくとも2年の間は水漏れはしなかったので、家電のウォーミングアップにありがちな、ちょっとしたトラブルくらいに思ったかもしれない。

どうも、はずれのエアコンに当たったのかもしれない。そんな考えが頭をよぎった。

まあ、しかし、とりあえず延長保証の会社に連絡しなければ行けないと思い、evernoteに保存してあった保証会社からのメールを探し、そこに記載の連絡先に電話をかけた。

「お客様のおかけになった電話番号は、現在使われておりません」

再び憂鬱な気持ちが増幅されて襲ってきた。何だかマンガのような展開だ。きっと電話番号が替わったに違いない。メールに記載の専用ページなるものにログインして見ると、きちんとログインできた。この時点ではまだ保証会社が倒産したとは思わなかった。しかし、そこの記載の電話番号は、先程かけた電話番号と同じだった。

きっと電話番号が替わっただけだ。再び自分をそう説得した。そして、ググって調べようと「ワランティマート」と検索窓に入力して半角スペースを押した瞬間「ワランティマート 倒産」という単語がサジェスチョンで出てきた。

憂鬱な気持ちがさらにパワーアップして、今度は不安が自分を襲った。「マジですか?」

早速、ググってみると、googleさんのサジェスチョン通りこの会社は倒産していた。本当にマンガのような展開だ。「保証会社が倒産しました、保証はどうなりますか?」というような知恵袋のページが一番上に表示されている。さすがgoogleだ、自分の気持ちを見事に察知してくれている。

そうだ、販売店に電話してみよう。販売と取り付けは同じ業者だ。電話をかける。コールするが繋がらない。本当に繋がらない。また憂鬱な気持ちが増幅されて、さらに心が病んでいく。販売店のメールのURLをクリックして見る。ページが表示される。こちらはまだつぶれていないようだ。だがまだ安心できない。延長保証のページのリンクがある。クリックしてみる。すると延長保証の詳細ページにつぶれた保証会社の紹介が掲載されている。

このようにページが放置されている事は、よくないケースの場合が多い。「やばい、ここもダメか」人は不安になると色々な事を試す。安心しようともがき苦しむのだ。

そう思いながら、とりあえず電話はコールするのでかけ続ける。切っては何度もかける。ようやく出た、よかった。「エアコンをそちらで購入したものですが、どうも故障したみたいで」ようやく事を一歩動かす事が出来た。

保証会社が倒産した事にはふれず、「延長保証ですね、担当のものに折り返し電話させます」よかった。修理してもらえそうだ。ようやくちょっとした安堵感が訪れた。

心の中に少しの不安を残したまま、その不安な心が「エアコン 故障 水漏れ」「富士通 エアコン 故障 水漏れ」など様々な検索ワードを脳裏に呼び覚ました。ググらずにはおれない。不安を抑える為にググる。ググって調べる。

すると検索の上位にyoutubeの「エアコン クーラー水漏れ」なる動画がヒットした。おお、これだ!と思い、早速動画を再生してみる。すると「エアコンのクーラーの水漏れの修理方法を紹介します。自己責任でお願いします」と出だしから「自己責任」を強調してきたので、これは大掛かりな修理が必要なのかとドキドキしながら詳細を待った。

「エアコンの水漏れとはこういう状態です」と先程の我が家のエアコンと同じような写真がでてきた。「そう、それだ、それを何とかしたくて見ているんだ、自分で直せるのか?」そうパソコンに一人で語りかけながらさらに見入った。

「エアコンの水漏れの原因は、ドレンホースの詰まりです」と紹介されて、「えっ、詰まりなら簡単に直るんじゃないか?」と一気に気が楽になった。動画ではホースを口で吸ったり、掃除機で吸ったり、その詰まりの解消方法を紹介していた。

そんなことより、そもそも詰まっているか詰まっていないか見た方がいい。そう考えてベランダに出てエアコンのドレンホースを探した。ドレンホースはウッドデッキに穴をあけて、そこに突っ込まれているので早速引き抜いてみる。すると怒濤のように水が大量に出てきた。ホースの先には虫除けに網がつけてガムテープで止めてある。その虫除けの網に泥がついて詰まっていたようだ。

一気に鬱な気持ちが吹っ飛んだ。「これって、直ったんじゃ無かろうか?」

早速エアコンを付けてみる。というより、エアコンを切っても先程までしたたっていた水が止まっている。思った通り、水漏れは直った。

しかし、誰がドレンホースに網を付けたのか?エアコンの業者はしないだろう。そこで嫁にエアコンのドレンホースに網を付けたか聞いてみた。すると取付の際に、古いドレンホースに虫が入っていたので、網を付けた方がいいと薦められたという。しかし、虫が入ってエアコンが壊れた事も水漏れした事も無いが、虫除けに網を付けたら、それが原因で水漏れとはなんという皮肉なのか。

わずかな時間の間に憂鬱な気持ちを繰り返しながら、安堵感という達成感を得た。そして、その安堵感を感じている時に電話が鳴った。先程の販売店からだ。なんだかブルースリーの「燃えよドラゴン」のエンディングのような、もう終わった感が強い。

しかし、あまりにあっけない幕切れにも、保証会社が倒産したなら、新しい所をちゃんと教えておいてよ、とツッコミをいれることは忘れなかった。後で、引き継いだ会社の詳細をメールで案内してくれるという。

冷静になって考えると、先にググっておけば良かったかもしれない。今回は、人間はパニックになるととりあえず、やれることを片っ端から試すといういい見本のような動きだった。だが、保証会社が倒産した事など、分かった事もあるので、この手順は今回に限っては正しいことだったと思う。

しかし、安心をお金で買って、その結果が不安を増幅させた形で返ってくるとはシャレにならない。今の世の中、保険や保証にお金をかけても安心しきれないという教訓は心の片隅に置いておいてもいいかもしれない。丁度、自分の恋人がいつまでも恋人でいてくれるとは限らないという少しの緊張感を持って心の準備をしておくのだ。

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